【犬が咳をする】あなたの犬の咳が止まらないとき。獣医師が解説します。

健康な犬であっても咳をします。1秒間に4から6回も匂いを嗅ぐために鼻をクンクンさせる動物にとって、咳をすることは日常生活の一部になっています。もしも、あなたの犬が、咳をたくさんするか、あるいは止まらないようであれば、犬は病気かも知れません。その場合には、おそらく治療が必要になるでしょう。

咳の背景には、何があるのでしょうか?

犬は、ヒトと同じように、気道に入ったホコリや細菌、そしてその他、吸い込んでしまった物を取り除くために咳をします。また、犬もヒトと同様に、ウイルスを含む病原体に感染症することがあります。

細菌やウイルスが犬から犬に急速に広がるのは、犬はお互いに匂いを嗅いだり、お互いやいろいろな物を舐めたりすることがある群れる生き物だからです。細菌やウイルスは、床や家具、食器、おもちゃ、そしていろいろな物の表面に付着します。それが他の犬にも付着したり、また舐めることで感染することがあります。

犬が咳をするのはなぜ?

ケンネルコフは、一般的な病気の俗称で、犬が咳をする感染症の一つです。あなたの犬は、連続して発作のように咳をしたりはしませんか?そして、その後でカーッと、吐くような仕草をすることはありませんか?1週間ほど遡ってみてください。ケンネルコフの原因は、おおよそ1週間ほど前にあることがほとんどです。トリミングサロン、ドッグラン、パピークラスやその他の犬が集まるところに行ったことがありましたか?恐らくは、どこかで、同じような病気の犬に近づいていたと思われます。ケンネルコフはとても感染しやすいものですが、あまり心配のいらないものでもあります。多くの場合、1週間ほどで症状の改善が見られるはずです。

動物病院では、ケンネフコフであるのかどうか、そしてあなたの犬に抗生物質や咳止めのお薬が必要かどうかを判断します。ときには、これらの薬が必要ですし、ときには必要ない場合もあります。

ケンネルコフのような咳は、始まってから2-3日目に咳の数がピークになることがあります。ときに、薬を与えていても、治療を始めているのに悪化するように見えることがあります。それでも、数日もすれば、咳は減り始めて、1週間ほどでかなり楽な状態になるはずです。

真菌感染症というものがあります。酵母菌や他の菌類は、汚れや空気中に存在します。犬がそれらを吸引して起こる病気です。これらの治療には、動物病院で処方される薬が必要になります。

犬糸状虫症(フィラリア症)でも咳が見られます。蚊が媒介する寄生虫による病気です。予防には毎月与える薬や、6か月から1年間持続する薬を使います。この病気にかかった犬の治療は困難で、薬も治療費用も高価なものになります。

ジステンパーウイルス感染症という病気があります。このウイルスは、病気の犬から空気中に広がり、ときに重篤な症状を見せますが、ワクチン接種で予防できます。

心臓病が進行して咳をすることがあります。弁の閉鎖不全症や、その他の心臓の病気は、心臓の壁を弱くしたり、厚くしたりすることがあります。これによって、肺や気道に圧力がかかることになります。適切な食事と運動を薬を使った治療と組み合わせることによって、状態を安定化することができます。しかしながら、多くの心臓病は進行性ですので、最終的に、あらゆる治療に反応しない咳が見られるようになることがあります。

うっ血性心不全では咳が一般的に見られます。これは心臓病の悪化によってみられることがあり、心原性肺水腫が起こると呼吸困難とチアノーゼ、そして咳が見られることがあります。救急疾患で、できるだけ早くに獣医師による治療を必要とする状態です。

犬の心原性肺水腫ブログ記事
犬の心原性肺水腫の動画

肺の病気、気管支炎や肺炎によっても咳が見られます。犬が吸い込んだ、ホコリや草の種、そして食べ物などによって気道の感染症が起こることがあります。治療には、抗生物質が使われます。まれなことですが、肺がんと診断される犬がいます。肺がんに治療は、抗がん剤を使った薬物療法や外科手術です。どちらがより適切な治療になるか、獣医師と相談をしてみてください。これは一概には選択ができませんが、利点と欠点はどのような治療にもありますので、できるだけ多くを聞いていただき、獣医師のおすすめを含めて検討されることをお勧めします。

いつ動物病院に行けばいいの?

次のような場合には、動物病院に行くことをお勧めします。次のようになるまでは待ってくださいということではありませんので、心配な場合には、できるだけ早くに動物病院に行きましょう。

咳が1週間以上続いたり、次第に悪化するようになる

いつもより疲れたように見える

体温が高い

食べない

咳がみられて、かつ、その他の健康上の問題がある

獣医師があなたにする質問には、次のようなことが考えられます。

咳をしながら呼吸困難のようなものは見られませんでしたか?

いつ咳をしますか?(一晩中ですか?それとも食後?水を飲んだ後?運動の後?興奮したとき?)

咳はどのように聞こえますか?これに答えるのは難しいかも知れません。ガチョウのような咳やアザラシのような咳で起こっている問題が異なることがありますが、もっとも良いのは、咳をしている犬を動画で記録することです。それを獣医師に見せてください。私もこれでかなり短時間に診断医近づけることがあります。

咳は乾いていますか?湿っていますか?これも動画が役立ちます。

嘔吐しようとしているように見えますか?

犬が他の犬に近づいたりしていませんでしたか?トリミング、ドッグラン、パピー教室、公園で友達となど。または、犬と出かけてはいませんか?喫煙者の近くにいたことはありませんか?

いつもと変わったことはしていませんか?(日課の変更を含む、いつもとは違った行動)

予防接種やフィラリア症予防を適切に行っていますか?

最後に飲んだお薬は、いつ、何でしたか?

獣医師は、犬の身体検査を行い、その他の追加の検査を行うことで、咳の原因がウイルスなのか、細菌や真菌のような微生物の感染なのか、アレルギーなのか、または別の問題なのかを調べます。

これらには、それぞれに適した治療がありますので、まずは診断をすることが必要です。病名が確定すれば、治療方法やどのような治り方をするのか、あるいは治療が極めて難しいのかなどの話を聞くことができます。

犬が咳をしているとき、ご家庭でできること

犬以外のご家族と同じように、犬に咳が治るまではTLCでいてください。TLCとは、Tender Loving Careで、優しく愛情のこもった世話という意味です。犬には十分な水を与え、健康的なバランスの取れた食事、休息が必要です。もし、あなたの犬が一人になりたいようであれば、そっとしておいてあげてください。眠っていれば、そっと寝かせてあげて、元気になるまでは他の犬に近づけないようにしてあげてください。

犬を健康に保つ最良の方法は、犬に健康上の問題が起こる前に予防をすることです。毎年の予防接種やフィラリア症の予防をしてあげてください。そして、咳をしていたり、病気の犬からは遠ざけて、一緒に遊ばせないことも大切です。

1 COMMENT

現在コメントは受け付けておりません。