【猫の腎臓病】腎不全は、治るのかを獣医師が解説します。

慢性腎臓病は、高齢の猫ではよくみる病気で、多くの動物病院でも毎日のように慢性腎臓病の猫の治療を行っていると思います。

慢性腎臓病は、進行性で、治ることはありません。腎臓機能が次第に低下して、その後に末期の腎不全へと続きます。

しかしながら、急性の腎臓病、腎不全で、適切に治療をすれば治るものもあります。慢性腎臓病でも、もし尿路感染があれば、感染の治療をすることで猫の状態が良くなることもあります。では、なぜ、特に高齢の猫の場合、獣医師ははじめに治る急性腎臓病、腎不全ではなく、慢性腎臓病を意識して治療に入るのでしょうか。

猫の腎臓病 腎不全の多くが、高齢猫にみられるので、そこに尿路感染症があることに気づきにくいとい側面もありあす。

これは、猫の慢性腎臓病、腎不全の実に半数以上が7歳齢以上だという研究結果が出ています。つまりは、猫の腎臓病の多くは、治らないことが多いのですが、かと言って、治療ができる場合もあるということです。

また、別に猫の腎臓病、腎不全がどれほどの数なのかのデータがあります。腎不全の猫の37%が10歳未満、31%が10歳から15歳、32%が15歳以上という研究結果があります。

この数値を読み解きますと、飼われている猫の数は10歳未満が多く、10歳から15歳、そして15歳以上と減っていきます。にも関わらず、腎臓病、腎不全の数がほぼ一定で30%ということは、年齢が高くなるに連れて、腎臓病、腎不全がふえることを意味しています。

ですから、治らないことが多いけれども、全てがそうではない、という印象です。猫の慢性腎臓病、腎不全と比べますと、急性腎障害はかなり少ないものです。しかし、急性なのか慢性なのかは必ず判定しなければならないものです。治る可能性があるか、ないのかの判定でもあります。

では、治る猫、つまり、腎臓病、腎不全の猫は、どのようなことで判別できるのでしょうか。

猫の急性腎臓病、腎不全の多くは、細菌感染症によって起こります。膀胱炎と言うよりは、腎盂腎炎です。その他には、虚血性障害、中毒そして腫瘍の浸潤によるものがあります。

急性腎障害も慢性腎臓病も、どちらも症状があるものないものを含め、尿路感染症の可能性があります。特に猫の慢性腎臓病では、無症候性感染が起こりやすいので、確認が必要です。

腎毒性とは、腎臓に対してよくない働きをするもので、非ステロイド系消炎鎮痛薬やときに、腎臓病の治療にも使うことのあるアンギオテンシン転換酵素阻害薬も、慢性腎臓病の猫に与えると、急性障害が起こることがあります。ステージ4の慢性腎臓病の猫には、できるだけ使わない方がよいと言えます。このような薬を与える場合には、薬の開始から5日以内と、使う薬の量を増やしたときには、必ず血中尿素窒素(BUN)と血清クレアチニン(CRE)を測定して、腎臓機能を評価することが推奨されます。

猫はある程度長い時間の腎臓虚血にも耐えます。これは、腎臓へ流れ込む血液量が減ることで、腎障害が起こることがあるのですが、それに猫はある程度耐えるとされています。この腎臓虚血が起こるのは、全身麻酔中が多いのですが、特に30分以内の全身麻酔は、多くの猫の腎機能には問題を起こさないはずです。他に、猫の腎臓虚血が起こるのは、循環不全、低血圧です。また、他の疾患の結果として、急性腎障害が起こることがありますが、その疾患とは、膵炎や播種性血管内凝固そして熱中症です。

ユリ中毒というものがあります。猫にとって、ユリは、葉も茎も根っこも毒性があります。ユリ中毒では、下痢や嘔吐などの消化器症状や急性の膵炎、急性腎不全などを起こすことがあります。そして、それらは多くの場合、ユリを食べてから24時間以内です。

猫の慢性腎臓病を起こすものに、腫瘍がありますが、腎臓に起こる腫瘍は多くはありませんが、ほとんどは、リンパ腫です。それでも、全てのリンパ腫の5%の発生率です。

猫の腎臓病は、急性であれ、慢性であれ、その原因を調べることが大切です。いろいろな検査を行っても、最終的に原因がわからないこともありますが、それでもできるだけ検査を繰り返すことで、それぞれの猫に合った、必要な治療を受けることができるはずです。

ご家族にとっても、猫にとっても、検査が好きなことはないはずですが、全てを腎臓病と大きく括って、同じ治療に終始するよりは、良い治療成績も期待できます。