【猫の腎不全】腎臓病の尿検査でわかることを獣医師が解説します。(すごく専門的な話です)

猫の腎不全、腎臓病をいろいろな検査結果で評価することができます。猫の腎臓病を評価するために必要な検査は、尿検査、血液検査、X線検査、超音波検査です。

今回は、特に尿検査に絞ってお話しします。もし、あなたの猫が腎臓病、腎不全と診断されたのであれば、尿検査はとても大切な情報を提供してくれます。そして、血液検査しかしていないようであれば、それは最も簡単に検査できる反面、必要な情報を満たしていない可能性もあります。

血液検査だけで猫の腎臓病、腎不全を評価するのは不十分で、尿検査はとても大切な検査だということです。そして、検査自体が度々見落とされます。その理由は、獣医師がよくみる尿路感染症のほとんどは、猫に何かしらの症状があるものです。下部尿路疾患、膀胱炎の症状のようなものです。しかし、慢性腎不全の猫では、尿路感染症を起こしていることがあるにも関わらず、下部尿路疾患、膀胱炎の症状が全くないことが多いからです。そして、これは治療が可能です。

猫でよくみる下部尿路疾患には、何かしらの症状があります。そして、慢性腎不全の猫には、下部尿路疾患、膀胱炎の症状がないにも関わらず、尿路感染症になっている猫がいます。

尿検査では、一般的な尿検査に加えて、尿沈渣と尿培養を行います。一般的な尿検査では、尿糖、pH、ビリルビン、タンパク質、潜血、ケトンはとても重要な評価項目です。

尿糖は、そのレベルが高い場合には、糖尿病を意識しなければなりませんが、低い場合には、最近の増殖も考えなければなりません。膀胱の中、あるいは、その他の尿路に細菌感染がある可能性があります。

pHが高い、これはアルカリ尿を意味します。そして、猫にアルカリ尿が見られるのは、食後であるとか、ウレアーゼ産生菌が尿路内にいるとか、アルカローシスなどによって起こります。猫は食後に尿がアルカリ性になります。これは、ストラバイト結石ができやすい猫にも見られますので、食事の1回量が多めですと、ストラバイトが出現しやすくなります。また、ウレアーゼとは、酵素で、尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解します。このウレアーゼを作りだす細菌が膀胱内やその他尿路にいますと、アルカリ尿になります。また、猫の体が何かしらの原因でアルカリ性に傾いているときには、尿もアルカリ性になります。

ビリルビンは、通常は尿からは検出されません。猫の尿中にビリルビンが見られることは、すなわち異常なのですが、これは肝臓の病気その他の原因で、血液中のビリルビンが増えたことを意味します。もし、この段階ではまだ黄疸が見られていない場合には、今後見えるところで黄疸が認められるかも知れません。ちなみに、ビリルビンとは、血液(赤血球)に中に含まれる色素です。血液(赤血球)が古くなって壊れると、ビリルビンが出てきます。猫のビリルビンは、肝臓で処理されて胆汁に入ります。

タンパク尿症のレベルは猫の腎臓病を評価する上でとても重要です。タンパク尿症のレベルが高いほど、腎臓病は末期へ向かっていることになります。そのとき、本来であれば24時間の尿タンパク質を測定するのが望ましいとされていますが、これは現実的ではないために、尿タンパク・クレアチニン比というものが使われます。これは、尿中のタンパク質と同じく尿中のクレアチニンというものを使った比で表されるものです。なぜ、このようなことをするかと言いますと、尿は濃いときも薄いときもあるために、1回だけの尿を評価に使うのは確かな結果にならないことがあるからです。そこで、尿タンパク・クレアチニン比を使うことで、尿が濃くても薄くても安定した評価ができるとされています。猫の場合、尿タンパク・クレアチニン比は0.2を越えると注意をすべきで、0.2から0.4、そして0.4以上と分けた場合、高ければ高いほど生存期間が短くなるという報告が出されています。詳細として、猫の場合には、尿タンパク・クレアチニン比が0.2未満であればタンパク尿症なし、0.2から0.4ではボーダーラインのタンパク尿症であり、0.4を超えるとタンパク尿症であるとされています。

尿検査では、尿沈渣検査も行います。これは、猫の尿を遠心分離をして得られる沈殿物を検査することです。これでは、上皮細胞、血液あるいは炎症性細胞、細菌、結晶物、ときには、真菌や寄生虫卵が見られることがあります。また、腎臓の尿細管と呼ばれる組織の細胞が見られることがあり、これが多く認められたり、細胞円柱と呼ばれるまとまったものとして認められると、急性の腎障害を意味します。しかし、このような円柱と呼ばれる形をとることは、多いことではありません。

尿培養検査を行います。これは、膀胱に針を刺して尿を取る、いわゆる膀胱穿刺と呼ばれる方法で採取した尿で行う検査です。通常は、尿中に細菌が存在すれば、尿路疾患の症状を見せると考えられますが、猫の慢性腎不全の多くでは、尿中に細菌がいるにも関わらずに、尿路疾患の症状を見せなかったという報告があります。つまりは、尿培養をしない限りは、細菌の存在を否定できないということです。もしも、細菌感染が見つかり、適切に治療をすることで、猫の慢性腎不全を進行を抑えることができるかも知れず、そうであれば、猫の命を救うことができるかも知れません。

尿比重検査は、比重計と呼ばれる計測器で測定します。腎臓の働きが正常であれば、猫の尿比重は1.035を超えるはずです。もし猫の尿比重が1.035を下回っているならば、それは異常であり、慢性腎不全を含むその他の病気を疑わせるものです。