【犬と猫の肥満】肥満の原因は、獣医師があまり話したくはない話題。少なくとも私は。

肥満を解決するためには、1週間に0.5から2%の減量が理想的です。そのためには、まずこれまで与えていた食事のカロリーを80%にしてみることです。または、安静時エネルギー要求量の80%を与えると良いでしょう。これらがわからない場合には、かかりつけの獣医師さんに相談してください。

一応、1日の安静時エネルギー要求量に計算式は、体重(kg)を3乗して、その数字の平方根を2回繰り返して、70を掛けます。70X(体重kgの3/4乗)です。

まず、犬と猫の肥満の原因には、下のようなものがあります。

単純性肥満と二次性肥満があります。単純性肥満が最も多く、二次性肥満とは、食事の問題以外に、何かしら食事とは異なる原因がある肥満です。

単純性肥満(肥満の原因の95%以上)

カロリーの過剰摂取(カロリー過多の食事、不適切な食習慣、不十分な栄養管理、自由採食)、エネルギー消費の減少、遺伝的肥満傾向

二次性肥満(肥満の原因の5%以下)

甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、高インスリン血症、下垂体機能低下症、視床下部機能不全、薬物(グルココルチコイド、フェノバルビタール、など)

タイトルにもありますが、こん話題を獣医師があまりしたくないのは、動物のご家族にとって、とても耳の痛い話になることと、家族は、犬や猫の肥満を気にはしていますが、本気で肥満を解決しようとは思っていないことが多いのです。

犬や猫の肥満を解決するために、最も必要なことは、犬や猫に食事を与えるヒトが適切に食事を与えることができるかどうかということです。そこで、最も障害になるのは、食べ物を欲しがっているのに、食事量を減らすのはかわいそうという想いです。

犬や猫は、自ら食器に食べ物を入れることはありません。ほら、獣医師が薄情者に見えますよね。特に、犬や猫の肥満解決に本気ではない家族には、非情な人に見えるはずです。

次に、肥満で起こる問題については、下のとおりです。

寿命が短くなる、運動器障害(関節疾患の悪化、椎間板疾患)、呼吸障害、循環器障害、全身性高血圧症、運動不耐性、炭水化物不耐性(糖尿病の素因)、高脂血症、肝リピドーシス、膵炎(の素因)、便秘、猫の下部尿路疾患の素因、避妊手術済み犬の失禁の素因、皮膚疾患(脂漏症、膿皮症の素因)、手術や麻酔にリスクの増大

循環器障害については、最近はやや反対のデータもあります。すなわち、肥満が心疾患に与える影響は限定的だというものです。心臓病の場合、痩せる必要はなく、太らないように注意すれば良いというデータです。当然、その反対意見もあります。心臓病に肥満は大敵だというデータです。

もし、あなたの犬や猫が、1日にわずか11kcalの過剰な食事を摂ったとすると、1年ではおよそ450gの体重増加になります。

また、ドライフードは、1カップあたり、200kcalから600kcalほどの幅があります。したがって、どれくらいの食事を与えたら良いのかという問いには、どのようなフードを与えているかがわからないと回答できません。

そして、最も注意すべきは、ドッグフードやキャットフードのパッケージや缶に書かれている犬や猫の体重ごとの給与量をそのまま続けると、体重が増えすぎたり、減りすぎたりすることがあるということです。書かれている量を与えないと、犬や猫の健康に問題が起こると思うご家族もありますが、心配はありません。書かれている量で与え続けるよりも、体重管理を優先してください。そして、減量計画には、ご家族皆さんの協力が必要です。厳密に計画を遂行するご家族と、同調できないご家族があると、犬や猫の減量はうまく行きません。

おすすめするのは、1週間に1度は何かしらの方法で、犬や猫の体重を測定することです。それによって、食事量を調節するのが、肥満防止にも、減量計画にも大切です。そして、0.5%から2%の減量に挑戦してみてください。できるだけ1週間に2%以上の体重減少にはならないように気を配って下さい。