【犬が異物を食べた。】胃の中にある異物の対処。獣医師が解説します。

犬が誤って異物を食べた。

もし食べたものが胃腸を傷つけず、腸管を通り抜けるものであれば、あまり心配はありません。その判断が難しい場合には、獣医師に相談してみてください。

そして、その異物が食道や胃腸を傷つける可能性があったり、腸管を通り抜けて排泄までいかない様なものであれば、何かしらの手段で取り除く必要があります。

その方法です。まずは、吐かせることができる物の場合です。吐かせることができるというのは、異物が胃の中にあることが重要です。腸まで進んでいると吐かせることはまず困難です。そして大きさがあまり大きくなく吐かせても胃や食道を傷つけない物です。つまりは先が尖った物や角がある物、そして大き過ぎる物は吐かせる処置には適しません。

  • まず吐かせる処置を行う。
  • 吐かせる処置をしても吐かない場合には、内視鏡を使う。
  • 内視鏡でも取り出せない場合には開腹手術を行う。

次に、吐かせることができない物の場合です。吐かせることができないというのは、異物が腸まで進んでいる場合、そして異物が胃の中にあっても大きさが大きかったり吐かせると胃や食道を傷つける可能性がある物です。例を出しますと、針だとか、竹串だとか、また、大きめのボールだとかは、吐かせる処置には適しません。

  • 内視鏡で取れそうであれば内視鏡を試みる。(大きめのボールなど、初めから内視鏡では取れそうではない物は、次に進む。)
  • 内視鏡で取れない場合には、開腹手術を行う。

犬が異物を食べたかわからない場合。

よくあることです。私が体験したことでは、ペットボトルの蓋を噛んで遊んでいたけど、気づいたら無くなっていて、探してみたけれども見当たらない。食べたかも知れないということですとか、消しゴムが見当たらない、ペンのキャップが見当たらない、などなどです。

これらの場合には、犬の大きさや考えられる最悪と幸運の2パターンを提示して、対処を相談したり提案したりしています。

あるかどうかわからないであれば、まずは吐かせてみますかね、吐かせることができる物でしたら。そして、吐かせることができないけど、放置もできない場合には、内視鏡を使います。

ところで、内視鏡がない動物病院も結構あります。多くみても、全国の半分以上の動物病院には内視鏡がありません。ではどうするか。予想ですが、胃内異物は多くの動物病院でよく診察されると思います。ですので、それに対する対処は、内視鏡がない動物病院でも可能なはずですが、もしかすると上記の流れから、内視鏡検査が省略されるでしょうから、吐かせて出なければ開腹手術となると予想されます。あるいは、内視鏡がある動物病院を紹介されるかでしょうか。

そして、食べたかどうかは、レントゲンでわからないの?というお考えもあるでしょう。

レントゲンでわかる物とわからない物があります。まずはレントゲン検査は行いますが、それで全てがわかる訳ではありません。レントゲンではわからなかったり、非常に分かり辛い物もあります。

そして、異物を食べた可能性がある時には、動物病院を受診するまでは食べ物を与えてはいけません。食べ物が胃に中にあると内視鏡が使えないからです。私は、異物を食べてしまった、そして食事もしてしまったという場合には、吐かせることができる物なら食べ物ごと吐かせます。

しかし、吐かせることが難しい物の場合には、もし待てるのであれば胃の中の食べ物が消化されるまで待ってから内視鏡検査を行うようにしています。

鶏の骨を食べてしまった。

もしあなたの犬が鶏の骨を食べてしまった場合、すぐに動物病院に行くことをお勧めしますが、様々な処置が必要になるかと言うと、そうではありません。私は、基本的には飼い主さんに危険性についてはお話をしますが、とりあえずはレントゲン検査を行って、どれくらいの鶏の骨が犬の胃に入っているかを調べてから一晩は様子を見る様にしています。

なぜなら、ほとんどの鶏の骨は、犬の胃腸で消化されてしまうからです。

もちろん、危険性を説明すると言うのは、刺さってしまったりを含めて、危険を伴うこともある訳です。しかし、私の体験場では、鶏の骨で危険な状況になったことはありません。ただの幸運だったのかも知れませんが、全ての犬で、翌日にはレントゲンに写らないくらいに鶏の骨は消化されています。

獣医師の先生の中には、鶏の骨で危険な状況をご経験されている方もあるでしょうから、かかりつけの先生のご判断を何より優先することをお勧めいたします。